お米の神様

ある日曜日の夕暮れだった。大好きなアニメが始まる前に夕食を済ませようと、彼女は大急ぎでご飯をほおばっていた。幼い彼女には、米粒をきれいに拾い上げることは難しい。茶碗にはまだいくつか米粒がへばりついている。急いでいた彼女が「ごちそうさまでした!」と言って席を立とうとしたその時、おじいちゃんが彼女に言った。「あ、そんな食べ方しとったらお米の神様に怒られるぞ。」

一粒のお米には七体の神様がいるという。土、水、風、太陽、雲、虫、そして作り手というたくさんの働き手が育てて届けてくれたお米を、一粒たりとも粗末にしてはいけないと、おじいちゃんは彼女に諭した。「神様に怒られて悲しいことが起きたら嫌だなあ。」そう思って、彼女はスプーンを手に取り急いで残りのお米をすくい上げた。もうすぐ大好きなアニメが始まる。